重曹はもともと地球の自然、そして人の体にも存在する「ナトリウム化合物」のひとつです。

これが生活の中で活躍するきっかけとなったのは、バン作りでした.灰の成分である炭酸カリウムに、パンをふくらませる効果があることをアメリカの人植者が発見。ここから改良を経て、「重曹」という製品に至ったのが19世紀ごろのこと、やがてパン以外にも用途が広がりました。

この重曹が日本に来たのは、明治時代といわれます。かつては掃除にも使われていましたが、合成洗剤の出現で忘れられた存在に。

しかし環境ブームで、その安全性が再評価されてきました.重曹のpHは8・6以下、そのまま海に流せる排水基準を満たしています。

重曹の成分を知ろう!

重曹とは、重炭酸曹達(ソーダ)の略称です。化学物質名は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)といって、ナトリウムを含む塩(塩化ナトリウム)の仲間です。
塩に似た成分賀あることから、なめると苦いようなしょっぱいような味がします。

弱アルカリ性の重曹は、レモンや酢といった酸をかけると、二酸化炭素と水に分解されてしまう、シンプルな化学物質です。

環境へのダメージもほとんどなく、エコロジーの優等生。天然のミネラルとして、昔から人々に使われてきた、便利な化学物質なのです。

重曹にはいくつか種類があるの?

重曹には薬局で買える薬用、スーパーにある食品用、洗剤などの工業用、飼料用などの種類があります。基本の成分は同じですが、用途によって規格に違いが。

薬用は「日本薬局方」、食用は「食品添加物公定書」で、成分の含有量などが決まっています。掃除や洗濯にはどれでもOK。口に入れたり、肌につけたりするなら薬用や食用を選びましょう。

重曹ってどうやって作られている?

大きく分けて2 つの方法があります。ひとつは、地中にある重曹の成分から作る方法。もうひとつは塩を原料とする方法です。

重曹成分の入った土や鉱石は、モンゴルやアメリカなどで採掘されます。これを水に溶かして炭酸ガスを注入。液の中で結晶化した重曹を取り出します。

塩から作る場合は、オーストラリアやメキシコなどで採る岩塩が原料に。岩塩を溶かした水を電気分解し、この水溶液に炭酸ガスを入れると重曹の結晶ができます。

重曹の使い方の特徴を知ろう!

重曹は身近なところで活用されています。たとえば缶コーヒーなど飲み物の状態を安定させるpH調整剤。また枝豆などの色を鮮やかにする補助剤として。

あるいは薬の原料として、胃腸薬や人工透析の溶液に。人間ドックでバリウムとともに飲む発泡剤にも、重曹が使われています。

入浴剤の原材料に炭酸水素ナトリウムとあれば、それも重曹のこと。さらに家畜の体調を整えるため飼料に混ぜたり、火を消す性質から粉末消火剤の材料になったりするほか、工場では部品を洗浄するのに使用したり、建築現場ではセメント早強剤と、驚くほど広範囲に使われているのです。